闇夜に光る巨大な心臓。ドックドック…心拍に合わせて光輝く“それ”は、長崎市桜町界隈の名物と言っても過言はありません。この一際目を惹くネオンサインの持ち主(?)が、桜町バス停のまん前に建つ「ながさきハートクリニック」さん。
私たちママモニ隊は、このネオンが気になって気になって仕方なかったのです。さらに、NCCの情報番組「はなきん(毎週金曜日9:55〜)」内の「教えて!坂井先生」コーナーで拝見した、「ながさきハートクリニック」の坂井秀章院長が、おもしろくって…!一見難解な医療の話を分かりやすく、ユーモアを交えながら教えてくださる坂井院長にも興味津々!さらにさらに、こちらは「24時間365日、心臓・循環器の専門医師が常駐し、迅速な治療が受けられる」というスペシャルな病院。
洗練されたビルスタイルの院内には一体どんな設備が整い、どんな最先端の医療が受けられるのか…最近「階段を上ると息が切れる」という人や、「なんだか胸が苦しい」というあなた!今回のママモニ社会科見学は朗報が満載ですよ!
20年前は1ヶ月入院、今は2泊3日で歩いて帰る。
「心臓の病気」「心臓の手術」と聞くと、「あぁぁ…もうダメだ!」とか、「命に関わる一大事!」という絶望感や焦燥感にさいなまれる方も多いと思います。ママモニ隊も、そうだったのです、こちらにお邪魔するまでは。心臓はご存知の通り、「命」に直結した臓器。その部分が病んでしまうということは、すなわち「命」の危機に瀕していると言っても過言はありません。けれど、目覚しい医療の進歩は、心臓の病気を重篤になる以前に発見し、また発見された病気は、体にできうる限り負担をかけない低侵襲(ていしんしゅう)の治療を可能にしました。その心臓治療の最先端にいるのが、「ながさきハートクリニック」さん。長崎の最先端であるばかりでなく、日本の最先端で牽引する頼もしい医療機関なのです!
最初に「ながさきハートクリニック」の院長・坂井秀章さんが案内してくださったのは「心臓カテーテル室」の隣に位置する「操作室」。手術がリアルタイムに映し出される大型のテレビモニターに、心拍数や血圧などのモニターがズラリと並ぶ、医療現場の最前線!し、しかも!今、まさに「心臓カテーテル」の手術が行われているという真っ只中にお邪魔させていただきました。モニターに映し出される「心臓」は、ドクドクと脈打ち動き続けています。動く心臓の冠動脈にカテーテルを挿入するという、私たちの想像を凌駕した医療がそこでは行われていました。胸を開くことなく、手首の血管から心臓までカテーテルを通す、まさに「神業」と言ってもいい高度な技術を持つ長崎屈指のドクターが日々、そのまま放置しておけば、心筋梗塞を起こして動きを止めてしまう心臓を救っているのです。
私たちは、ガラス越しにこの「心臓カテーテル」手術を見学させていただいたのですが…あら?なんだか思い描いていた緊迫の手術シーンとは何かが違う…。血液が飛び散ることもなく、患者さんは意識があってドクターの呼びかけにも答えていますし、何より手術時間がとても短い!
「今、何をやっているかと言うと、コレステロールが詰まり狭くなった冠動脈に「ステント」という金属の筒を置き血管を拡張する「心臓カテーテル」という手術です。手首の末梢血管から心臓までガイドカテーテルを通し、「ステント」を血管の内側に密着させるわけですが、20年前だったら胸を開いて、全身麻酔かけて、1ヶ月は入院しないといけないような大手術でしたよね。今は検査も入れて1時間程度で終わります。終わったら、歩いて病室に帰れる患者さんもいますよ(笑)。入院も2泊3日程度で済みます(坂井院長)」。
確かに、全ての手術が終わった後、患者さんはムクリと起き上がり、笑顔でドクターやナースと話している…。日進月歩の医療技術は、ここまで来ているのです!朝日新聞社出版が発行した『手術数でわかる いい病院2011』では、心臓カテーテル手術の実施件数が、見事「九州第9位」にランキング!全国からも注目を集める心臓の有名病院が、長崎にある!これはかなりラッキーなことだと思いませんか?
技術を支える、最先端の医療器材。
こちらに導入されている「64列マルチスライスCT」!このCTで撮影した心臓は、とても鮮明で、360°全方向の状況を見ることができるのです。そのため、冠動脈にある小さな病変も見逃すことがなく、迅速な診断が可能になったといいます。実際に撮影した写真を見せていただきましたが、驚くほどハッキリ!と、血管が狭くなっている部分や、詰まっている箇所が分かるんです!
「この患者さんは“99%狭さく”と言って、血管の詰まった部分では1%ほどしか血液が流れないようになっていました。1%、髪の毛1本ほどの血液しか流れない箇所があるということは、放っておけばそう遠くないうちに血管は必ず詰まります。そうなれば、心筋梗塞を起こしてしまう。心筋梗塞の死亡率は30〜40%ですよ。この患者さんは、最近、歩くだけで息苦しい、何かおかしい、と思って診察に来たんですが、すぐに入院してもらって「心臓カテーテル」を行うことになりました。心筋梗塞を起こす前に見つけて、治療すれば、大事に至らずに済むんです(坂井院長)」。す、素晴らしい…!
「昔からCTはあったんですよ。内臓を輪切りにした写真、見たことあるでしょう?8列、16列…とずっと進化してきたわけなんですが、この64列になって初めて「心臓」が撮れるようになったんです。昔のCTでは、心臓は撮れなかった。何故なら臓器の中で、唯一動いているのが「心臓」だからです。肺も動いてはいますが、息を止めることで動かなくすることができますが、「心臓」ばかりはそういうわけにはいかない(笑)。カメラのシャッタースピードと同じで、動いているものを撮る時はスピードが必要なんですね。同じような「64列マルチスライスCT」は大きな総合病院にはありますが、いかんせん総合病院の場合、いろんな科と共有しなければならない。ですから、撮影だけで1週間待ちとかもあるわけです。その点、うちは「心臓・循環器」専門の病院で、心臓を撮るためだけにこのCTを使えるわけですから、診察に来て、その日のうちに撮影ができる。つまり、より早く、確実に病気の治療に取り掛かることができるんです(坂井院長)」。
そうそう!たしかに、検査だけで1〜2週間待ちなんてよく聞く話ですが、急を要する「心臓」の病気の場合、その「待ち」時間が命取りになることも、あるんですよね…。どれだけの「命」が、ここで救われていることでしょう。早期発見・早期治療とは、何も「がん」だけの話ではないのです。
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20年前は1ヶ月入院、今は2泊3日で歩いて帰る。 ( 1 / 3 頁 )