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木漏れ日のようにほっこりあたたかな笑顔を、色鮮やかなアンティークの着物で包んで出迎えに立つ。蛍茶屋のゲストハウス〈長崎かゞみや〉の女将 市原ゆかりさんは、初めて会った時からオープンマインド。旧知のような親近感が漂う宿屋の女将さんです。
日本はもちろん、世界各地の旅人が訪れるゲストハウスをご夫婦で切り盛りしながら、「アンティーク着物」のレンタルを通して日本の文化や魅力溢れる長崎の街を、国を超えて、世代を超えて伝えようとしています。福岡出身ながら長崎をこよなく愛し、長崎の魅力を広める活動にも積極的な市原ゆかりさんが、ここ「長崎・蛍茶屋」へたどり着くまでのヒストリーは、ちょっとしたアドベンチャー!話せば話すほど引き込まれていく、市原ゆかりさんの「これまでの物語」、ご一緒にどうぞ楽しんでみてください。
原点 「私も“旅人”になりたくて」
短大を卒業して、福岡のイベント会社に就職したんです。福岡は「アジアの玄関口」というキャッチコピーがありまして、毎年9月に「アジアマンス」という大きなイベントがあるんですね。その最後の1週間が「アジア太平洋フェスティバル」ということで、アジアにまつわるいろんな催しを市役所前でやるんですが、その第1回目から関わらせていただいていました。
入社1年目の私が担当したのが、「アジア屋台」というイベントだったんです。コンテナハウスを持ち込み、アジア各国の現地のシェフを連れてきて、調味料なんかも日本のどこかから現地と同じ物を探し出して、現地の味を楽しんでもらうというイベントなんですね。私の仕事は、各国から招いたシェフのお世話やテントを張ったりテーブルを運んだり、一緒になって料理を運んだり…そういう体力勝負みたいなことばっかり(笑)。
1週間以上、朝早くから夜遅くまで言葉も何も通じない人たちと、死に物狂いで働いていると「言葉じゃない」という瞬間が来るんですよ!中国語なんて全く分からないのに、中国人のシェフが「塩がない!」と中国語で言っているのが、「あ、塩が要るんだな」と分かる(笑)。目的が一緒なら言葉なんか分からなくても、いろんな国の人と一つになれるんだ…、そういうのを体感できました。それでその年に、タイ・バンコクから招いて仲良しになったシェフを訪ねる一人旅に出かけたんです。言葉はまるで分からないくせに「行けば何か美味しいものが食べられる」くらいの軽い気分で(笑)。それが初めての一人旅ですね。もうそこから一人旅にはまって!

一人旅をして気づいたのが、世界には日本人を含め1人で旅をしている「旅人」が本当にたくさんいるということ。そして、一人旅をしていても決して「孤独」にはならないということ。1週間とか10日休みが取れると旅に出る、ということをずっとやっていたのですが、その中でまるで生活するように旅をする長期の旅行者に会うんですね。次の行き先もなんとなくしか決めておらず、宿が気に入れば数週間そこで過ごして…そういう人に会うたびに羨ましくて!私もいつか「旅人」なってみたい!という、なんともアンポンタンな(笑)夢でしょう?

29歳の時「20代のうちに長期の旅に出たい!」と会社を辞めて、約7ヶ月間、世界を旅したんです。各地にすごく安くで泊まれる宿があって、そこでいろんな国の人同士が知り合い、語り合って過ごしました。私ね、世界のいろんな観光名所みたいなところを観てまわって、それぞれに感動もしたんですが、「旅」に出て何を一番憶えているかと言えば、「人」なんです。それも「宿」で出会った人のことが一番鮮明に残っているんです。何ヶ月も住み着いている「主」みたいな人がいたり(笑)。1人で旅をすると、絶対に誰かに「出会う」んですよ。2人とか3人で行くと、その中で世界が終わってしまうけれど一人旅は、いろんな人と関われる。そこが、一人旅の素晴らしさですよね。
転機 「結婚、転勤、アンティーク着物」
一度、仕事を辞めて長期の旅に出たわけなんですが、旅の後半になると「やっぱり仕事がしたい!」という気持ちに駆られて。帰国して、同じようなイベント会社に就職して、休みがもらえると旅に出て…という生活に戻りました。
大きなターニングポイントと言えば、私の場合は「結婚」ということになります。主人は長崎出身。私にとって「長崎」は特別な街なんです。長崎出身の友だちが昔から多かったですし、車の免許を取ってからは何度も一人ドライブで稲佐山に朝日だけ見に来たり。今でも印象は変わらないんですが、長崎の街って、見ても見てもまだその先に何かあるような気がして。「路地裏文化」っていうんでしょうか。この道の一本先には何かある、そういう雰囲気がたまらなく好きだったんですよ。だから主人と初めて会った時も「長崎の人なら、きっといい人に違いない!」って(笑)。
出会って半年で結婚。同時に主人が転勤で愛媛に行くことになり、松山に引っ越しました。松山での生活は…実は最初、結構つらくてですね(苦笑)。近所付き合いとか、働いていなかったので友だちの作り方もよくわからず、しょっちゅう福岡に帰ってきていました。そんな風に、落ち込んでいろんなことをちょっとだけ後悔していた時に、「アンティーク着物」に出会ったんです!松山市から車で1時間半くらいのところに南予地方というところがありまして、そこで「えひめ町並み博」という長崎で言う「さるく」的な町興しのイベントを開催していました。その中で宇和町という懐かしい街並みが残る場所で、昔の建物の中アンティークの着物を着せてくれるという「むかし着物体験」ができますよ、と。それを見て、なんだか「あ、このイベント行ってみたい」と思いまして、1人車を運転して行ったんです。

 アンティークの着物を着せてもらって、たったその1回なんですが、すごく衝撃を受けました。成人式の時も振袖を着なかったくらい、着物に対して何の思い入れもない私でしたが、アンティーク着物の柔らかさと軽さにびっくり。青の金紗、花柄の小振袖でしたが「何これ、カワイイ!私、似合う!」と思って(笑)。それから何度も車で1時間半、1回5000円を払ってアンティーク着物を着せてもらいに通いました。旦那さんも連れて行って書生さんの格好をさせたり(笑)。
どうせだったら自分で欲しいし、着たいし…と、いろんな人に聞いていたら松山市にアンティーク着物を扱っているところがあると教えてもらって、それからはそのお店に足しげく通いましたね。1枚ずつ買い揃えながら、着付けを教えてもらい、そうこうするうちに、「私だけでアンティーク着物を楽しんでいるのはもったいない!もっと広めなければ!」と思うようになったんです、図々しいでしょ(笑)。

愛媛ってとても面白いデータがあって、自営で働く女性が日本一多い県(?)なんです。たとえば、自宅をカフェにしたり、自分で作った洋服を売ったり、そういう起業している女性が多いんですって。企業が少ないので就職は逆に難しい県なんですが、建物の賃貸料がとても安いから自分でやっちゃえ!となるみたい。私もその頃にはいずれ起業したいと考えていましたので、友だちのお店に通って起業するのに必要なノウハウをかなりがっつり聞き出していました(笑)。松山時代はアンティーク着物にも出会えたし、すごく良い勉強になりましたね。
 松山で過ごした4年半の間に、市原さんはアンティーク着物の世界にどっぷりと浸っていたそう。アンティーク着物の素晴らしさを広めるため、道後温泉の商店街の一角を借りて「道後きもの茶屋」を仲間たちと開業。観光客を中心にアンティーク着物を着せて街並みを歩くという仲間と考えたアイデアは、大好評を博しました。さらには松山市へ企画書、報告書を持込み予算が付くほどの一大事業に発展させたのです。
驚くべきはその発想とバイタリティ。「夢」を思い描いたら、それを実現するための方法を全力で「考える」「動く」「形にする」。市原さんの「今」は偶然の産物ではなく、市原さんの「こうしたい!」という思いがあって初めて動き出したものばかりです。ご主人の転勤で、愛媛の次は広島へと拠点を移した市原さん。その頃には、「長崎に戻って宿を営む」という現在の構想が、ご主人との間で明確になっていたといいます。
展開 「夢は口に出せば動き出す!」
長崎をアンティーク着物の聖地にしたい!長崎を流行らせたい!
 主人と結婚した時から、いずれは長崎に戻るという話を聞いていました。主人も私もサラリーマン、サラリーマンの妻では終わりたくない!何か自分たちで起業したい!という思いは同じでした。いろいろ話す中で長崎だから「宿」をしようと。それも私が旅した時に利用したような世界の旅人が格安で泊まれるゲストハウス。福岡は、確かにたくさんの人が訪れる都市ですけど、「旅」に来るというよりも仕事とか買物とか、そういう感じでしょ。でも長崎は「旅情」があるというか、みんな「旅」しに来るんですよね。

長崎って、旅をするのに本当にとてもいい規模。方向感覚が分かりやすいし、各観光地もがんばれば歩いてまわれるし。日本を旅する外国人の個人旅行者の95%が広島から西へは来ないらしいんです。うちに来てくれるのは、残り5%の人たち。この人たちは本当に日本が好きで日本の文化を尊敬してくれている人たちなんですよね。そういう街だから「宿」をしたいな、と。

3月の開業から半年以上が経ちましたけど、ありがたいことにほとんど想像通りに進んで来ています。私ね、この宿をいろんな出会いの場にしたいんです。日本の旅人と外国の旅人、着物好きな女の子と異国の青年が出会ったり、なんだか嬉しいじゃないですか。それと長崎をアンティーク着物の聖地にしたい!西洋の文化とのミックスカルチャーが素晴らしい長崎の街を、西洋文化の息吹が感じられる戦前のアンティーク着物を着た女の子が闊歩する、ホントにぴったりなんですよね。特に出島でアンティーク着物の大きなイベントがやりたいですね。和洋折衷の長崎独特の匂いを堪能できるウィークを実現させたいな。女性の力はすごいから、長崎に女性をドンドン呼んで、長崎を流行らせる!これが目下の夢ですね。

【編集後記】
 市原さんに、これから「夢」を叶えたいと思っている女性に何かアドバイスをと求めると、今からすぐにできる素敵な方法を教えてくれました。
それは「夢を口にすること。とにかく人に話すことです。そうしたら力を貸してくれる人が現れるかもしれない。人との縁を結ぶ一番大きな力は「言葉」にあると思うんです。意外とみなさん、口に出さず鬱々と思っているだけ…ということも多いみたいですが、笑われたって何だっていいじゃないですか。口に出したらやるしかなくなる、自分に火を着けるじゃないですけど、それって勇気が必要なことだからこそ意味もあるんです」。長崎観光の起爆剤になりそうな、〈長崎かゞみや〉。多くの旅人たちが、日本の中の長崎を、長崎の中の〈長崎かゞみや〉を目指して来る日もそう遠くはないかもしれません。

インタビュー後日談
 このインタビューの後日、女性起業家と起業を目指す女性たちの交流会「女性起業家さんとランチを食べつつ起業を考える会」が、出島交流会館で開催されました。
市原ゆかりさんは講師として、起業までのエピソードを講演。飾ることのないありのままの市原さんの話は、参加した14名の女性たちに多くの希望を与えてくれました。
講演終了後は、参加した女性たちが名刺交換し、お互いの現状を報告しあうなど有意義な交流も!自分が信じた道をひたむきに進む頼もしい女性起業家さん、これから夢を実現するために動き出そうとしている起業家予備軍の方、ママモ二が応援したくなる素敵な女性にたくさん巡り会えました!個性豊かな女性たちが集まれば、きっともっと長崎を元気にできる!そう確信した1日でした。

2010年11月26日:ママ記者M
 
長崎県内で活躍中の女性たちや、長崎出身の県外で頑張る女性たちを、ママモニからピックアップして、インタビュー取材を行います。
「自分らしく、人生を楽しんでいるひと」「夢に向かって、頑張っているひと」「大切なことに熱中しているひと」様々なインタビューを通して、ユーザーの皆さんの自分流の楽しみ方や、何かのヒントが見つかるかも?! 刺激的で元気が湧いてくる記事をアップしていく予定です!
もしかすると…つぎは貴方が旬なひと?!