3年というキャリアが伊藤さんにもたらしたのは、「レポーター以外の「伝える」仕事をしてみたい!」という思いでした。フリーランスになり、新境地を開拓していくのですが、もちろんそこでも様々な葛藤と壁にぶつかったそうです。
「レポーターを3年続けて、当然のように「他の仕事もしてみたい」と思うようになっていました。フリーアナウンサーという肩書きになり、結婚式やイベントの司会、CMのナレーションなど、それまでやったことがない仕事をいただいて、それはもう楽しくて!毎日「楽しいなぁ、楽しいなぁ」という感じでした(笑)。ずっと1人でやっていたのですが、1年後には1人ではこなしきれないほどの仕事をいただくようになっていたんです。
実際、ブライダルもイベントもたいてい土曜日か日曜日で、どうしても集中してしまうんですよね。そうなると必然的に1人では処理しきれない。でも私、せっかくオファーしていただいた仕事を断りたくなかったんです。それで考えるようになったのが、「誰かいないかなぁ…」ということ(笑)。当時は、フリーMCが所属する総合的な事務所もなく、知り合いにも誰もいない。「誰かいないかなぁ…誰もいないなぁ…」と諦めていた頃に、奇跡の出逢いがあったんです!」。
伊藤さんが「奇跡」「天からの贈り物」とまで声を弾ませる出逢いの相手、それは今も〈アナウンス倶楽部〉のチーフとして、伊藤さんの右腕となっているフリーアナウンサーの得丸典子さん。
「得丸との出逢いはまさにミラクル。当時、OLだった得丸と私はまったく面識もなくて。たまたま得丸が友だちの結婚式の司会を引き受けて、その司会ぶりを私の知人がたまたま見ていたんですね。それで「鍛え甲斐のありそうないいコがいたよ」と、その知人が紹介してくれて。まったくの素人だったわけですが、会った瞬間「この人なら大丈夫!」と直感しました。絶対に上手になる!私が上手にしてみせる!って(笑)。古い言い方をすれば「一番弟子」ということになりますね。とにかく短期間で、私が持っているアナウンスの技術を全て叩き込んで、すぐに仕事に行ってもらいました(笑)。そういう状況にも関わらず、彼女は見事に、仕事を成功させてくれて、これはもう間違いない!と」。
得丸さんとの出逢いは、単に多くの仕事をこなすということに留まらず、現在の〈アナウンス倶楽部〉の母体ともなる、運命的なものだったのです。
|